2012年10月16日火曜日

なぜ髪の毛は白くなる? 半世紀以上の謎



なぜ、「髪の毛」には色んな色があるのか?

黒、金髪、ブロンズ…、そして白。

髪の毛の色は「メラニン色素」によって色づけされているのだが、「その色素細胞がどこから供給されるのか、『半世紀以上の謎』となっていた」。



ようやく解明されて判ったことは、そのシステムに「幹細胞」が関係していたということである。幹細胞というのは、これからどんな細胞にもなることができる、子どものように幅広い可能性をもった細胞のことだ(iPS細胞・ES細胞)。

それは、まだ職業が決まっていない学生のような状態であり、その仕事がまだ決まっていないのである。ちなみに、このニート的なフリーランスな状態を「未分化」という。一方、職業と仕事が決まってしまった状態を「分化」と呼ぶ。

すなわち、幹細胞というのは、分かれるか分かれないのか、その「分岐点」にいる状態なのだ。



分化というのは、別の言葉でいえば「年をとる(老化)」ということ。年をとるにつれ、細胞は「分化」して定職につくようになるのである。

これを髪の毛の根元(毛包)の中にある幹細胞に置き換えてみると、髪の老化というのは「白髪」や「脱毛」。これらは、細胞が分化してしまった結果として起こることなのだそうだ。

髪の毛に色が付くのは、毛包内に未分化な幹細胞が豊富にあるからこそ成せる業である。ところが老化とともに、毛包内の未分化な幹細胞が減ってくると、だんだん色素を作れなくなってしまう。そして、白髪になるのだ。また、脱毛にもつながるのだ。



では、もし毛包内の細胞を「初期化」、すなわち分化した細胞を未分化な状態にまで逆戻りさせることができたら…、真っ白だった髪の毛はクログロと、つるつるだった頭はフサフサに…、なるのだろうか?

もしそれが可能なら、ノーベル賞をとった山中伸弥氏の功績は、「豊かな頭上世界」を演出することにもなるのだろう。





ソース:日経 サイエンス 2012年 01月号
「幹細胞から白髪・脱毛のメカニズムを探る」

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