ハワイは年間8cmずつ、北西へ移動しているという。
「前に、ハワイが日本に近づいているって学びましたよね?」
それはなぜか?
というのも、ハワイ諸島の乗っている太平洋プレートが東から西へ、つまりアメリカから日本の方角へ移動しているからだという。
移動するハワイ |
ご存知のとおり、ハワイは火山の島である。
500万年前の噴火が「カウアイ島」を、350万年前の噴火が「オワフ島」を、そして50万年前の噴火が「ハワイ島」を生んだ。
ハワイ諸島はホットスポットとよばれる、マグマが地表に噴き出るスポットに位置している。そのため、長い年月をかけて、次々と新しい島が生み出されているのである。
「なるほど〜。ハワイはホットスポットでできた島なんですね。でも、どうしてハワイ諸島は年代順に並んでるんですかね?」
年代順にならぶハワイ諸島 |
それは先に示した、太平洋プレートの移動が関係する。マグマの噴出孔であるホットスポットの位置は変わらない一方で、プレートは西へ西へと移動する。すると、できた島は順ぐりと西(正確には北西方向)へ動いて、新しい島に場所を譲るのである。
「そのことが、ハッキリと目で見てわかる地図があります」
海底の地形をみると、ハワイ諸島からカムチャツカ半島へむけて、島々が点・点・点ときれいに列をなしているのがハッキリわかる。これが火山列。噴火によって出来た島々がプレートの移動によって順ぐりと北西方向へ移動していった軌跡である。
「で、ここ。明治海山っていうんだけど、これじつは7,200万年前に、いまのハワイ諸島でできたものなんだ。明治海山はハワイからはるばる6,000kmも移動しきたんだって」
ハワイからカムチャツカに至る火山列を、正式には「天皇海山群(Hawaiian-Emperor seamount chain)」とよぶ。「天皇」とは日本の天皇のことで、推古、仁徳、応神、光孝、雄略、桓武など、歴代天皇の御名がそれぞれの海山名に冠せられている。
天皇海山群 |
しかし、なぜ日本の天皇の名前が?
日本人が発見して付けたのだろうか?
いや違う。命名者はアメリカ人の海洋学者、ロバート・シンクレア・ディーツ(Robert Sinclair Dietz)だ。ディーツはフルブライト研究者として東京大学に留学し、海上保安庁水路部において研究を行っている(1935)。杉山明氏によれば、ディーツは日本の古代史にたいへん興味をもっていたらしい。
ちなみに、日本とハワイのあいだの距離は6,000km以上。年間数センチずつの移動で、ハワイが日本に到達するには、単純計算で7億年は必要になる。
さらに、海山列の軌跡をみると、移動方向は西へ向かっている時期もあれば、北へ向かっている時代もある。7億年後、ハワイが日本に着くのか、それともロシア、はたまたフィリピンか? そもそも現在のハワイ諸島が7億年間も海上に出ていられるのか?
出典:NHK高校講座 地学基礎
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