〜NHK「テレビでドイツ語」より〜
アウグスティンは17世紀ころ実在したとされる、ウィーンの楽士。
楽士アウグスティン |
恋人をペストで失ったショックから、やけ酒をあおり、道の上で寝てしまったアウグスティン。
泥酔 |
死んでいると勘違いされ、ペストの死人たちと一緒に墓に放りこまれてしまいます。
死体と間違われる |
翌朝、目覚めたアウグスティンは死体に囲まれていることに気づき、大慌て。
死体のなかで目を覚ます |
手に持っていたバグパイプを吹いて救い出され、また元気に音楽を奏でて暮らしました。
バグパイプを吹いて助かった |
このエピソードから、アウグスティンは幸運な人の象徴とされ、この歌とともにウィーンで今なお愛されています。
じつはこの店、アウグスティンがやけ酒をあおったとされるレストランなんです。お店の名前はグリフィンバイズ(Griechenbeisl)。現存するウィーン最古のレストランなんですって(seit 1447)。
ウィーン最古のレストラン |
オーストリア民謡
O du Lieber Augustin
かわいいアウグスティン
オーストリア民謡『かわいいアウグスティン(可愛いオーガスチン) Ach, du lieber Augustin』は、ウィーンで猛威をふるったペストによる犠牲を嘆く内容となっている。17世紀後半、オーストリアの首都ウィーンではペストが大流行し、10万人を超える犠牲者が出たという(『世界の童謡・民謡』より)。
Ach, du lieber Augustin,
ああ かわいいアウグスティン
Augustin, Augustin,
アウグスティン アウグスティン
ああ かわいいアウグスティン
みんな無くなってしまった!
Geld ist hin, Mädl ist hin,
お金も 恋人も
みんな無くなってしまった!
ああ かわいいアウグスティン
みんな無くなってしまった!
Rock ist weg, Stock ist weg,
上着も無いし杖も無い
泥に横たわるアウグスティン
ああ かわいいアウグスティン
みんな無くなってしまった!
Und selbst das reiche Wien,
豊かなウィーンも無くなった
アウグスティンと同じように
同じ気持ちで私は涙する
みんな無くなってしまった!
Jeder Tag war ein Fest,
毎日がお祭りだったが
今やペストが大流行
残っているのは
長い葬式の列だけ
Augustin, Augustin,
アウグスティン、アウグスティン
墓に眠れ
ああ かわいいアウグスティン
みんな無くなってしまった!
〜『オーストリアこぼれ話』より〜
ウィーン子に親しまれている「愛しのアウグスティン」は、17世紀後半に実在した人物で、名前はMarks Augustinと言うそうですが、Dudelsack(バグパイプ)を弾いていた流しの歌手だったそうです。
バグパイプと言えば、スコットランドを連想しがちですが、当時はウィーンでも、このバグパイプを使って演奏する流しの歌手がいたようで、アウグスティンは酒場に行っては演奏していたそうです。こちらでは、酒場で奏者に酒をおごることも多いので、結果として、アウグスティンは「伝説の酒豪」になってしまったとか。
彼の名前が一躍有名になったのは、ペストがウィーンでも猛威を振るっていた1697年、泥酔状態だったアウグスティンは、街頭で泥酔して寝てしまったそうです(「こうもり」のファルケ博士みたいですね)。
それを見た死体運搬人が、“アウグスティンもついにペストにやられてしまったのか”と誤解し、荷車に乗せて遺体を隔離する穴に放り込まれてしまいました。普通だったら、そのまま絶命していたのでしょうが、持っていたバグパイプを演奏して助けを呼び、無事、救出されました。
しかし、一晩、たくさんの死体と一緒に居たにもかかわらず、アウグスティンはペストに感染することはなく、このニュースは、ウィーン中を駆け巡ります。それ以来、「Der liebe Augustin」(愛しのアウグスティン)としてウィーン子に親しまれるようになったというお話。メロディを聴けば、皆さまもご存じの有名な歌にもなっていますね。
ちなみに「愛しのアウグスティン」さんは、ウィーンの色々なところに出没しています。最も有名なのは、観光客の皆さまも良く訪れるGriechenbeisl(ウィーン最古のレストラン)にいる「愛しのアウグスティン」さんではないでしょうか(『オーストリアこぼれ話』より)。
Griechenbeisl のアウグスティン |
分かりやすい。面白い。
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