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2016年11月22日火曜日

Ach, Augustin[幸福のアウグスティン]



〜NHK「テレビでドイツ語」より〜



アウグスティンは17世紀ころ実在したとされる、ウィーンの楽士。


楽士アウグスティン


恋人をペストで失ったショックから、やけ酒をあおり、道の上で寝てしまったアウグスティン。


泥酔


死んでいると勘違いされ、ペストの死人たちと一緒に墓に放りこまれてしまいます。


死体と間違われる


翌朝、目覚めたアウグスティンは死体に囲まれていることに気づき、大慌て。


死体のなかで目を覚ます


手に持っていたバグパイプを吹いて救い出され、また元気に音楽を奏でて暮らしました。


バグパイプを吹いて助かった


このエピソードから、アウグスティンは幸運な人の象徴とされ、この歌とともにウィーンで今なお愛されています。

じつはこの店、アウグスティンがやけ酒をあおったとされるレストランなんです。お店の名前はグリフィンバイズGriechenbeisl)。現存するウィーン最古のレストランなんですって(seit 1447)。


ウィーン最古のレストラン



オーストリア民謡
O du Lieber Augustin
かわいいアウグスティン


オーストリア民謡『かわいいアウグスティン(可愛いオーガスチン) Ach, du lieber Augustin』は、ウィーンで猛威をふるったペストによる犠牲を嘆く内容となっている。17世紀後半、オーストリアの首都ウィーンではペストが大流行し、10万人を超える犠牲者が出たという『世界の童謡・民謡』より)


Ach, du lieber Augustin,
ああ かわいいアウグスティン

Augustin, Augustin,
アウグスティン アウグスティン

Ach, du lieber Augustin,
ああ かわいいアウグスティン

Alles ist hin!
みんな無くなってしまった!



Geld ist hin, Mädl ist hin,
お金も 恋人も

Alles ist hin, Augustin!
みんな無くなってしまった!

Ach, du lieber Augustin,
ああ かわいいアウグスティン

Alles ist hin!
みんな無くなってしまった!



Rock ist weg, Stock ist weg,
上着も無いし杖も無い

Augustin liegt im Dreck. 
泥に横たわるアウグスティン

Ach, du lieber Augustin,
ああ かわいいアウグスティン

Alles ist hin!
みんな無くなってしまった!



Und selbst das reiche Wien,
豊かなウィーンも無くなった

Hin ist's wie Augustin;
アウグスティンと同じように

Weint mit mir im gleichen Sinn,
同じ気持ちで私は涙する

Alles ist hin!
みんな無くなってしまった!



Jeder Tag war ein Fest,
毎日がお祭りだったが

Jetzt haben wir die Pest!
今やペストが大流行

Nur ein großes Leichenfest,
残っているのは

Das ist der Rest.
長い葬式の列だけ



Augustin, Augustin,
アウグスティン、アウグスティン

Leg'nur ins Grab dich hin!
墓に眠れ

Ach, du lieber Augustin,
ああ かわいいアウグスティン

Alles ist hin!
みんな無くなってしまった!







『オーストリアこぼれ話』より〜


ウィーン子に親しまれている「愛しのアウグスティン」は、17世紀後半に実在した人物で、名前はMarks Augustinと言うそうですが、Dudelsack(バグパイプ)を弾いていた流しの歌手だったそうです。

バグパイプと言えば、スコットランドを連想しがちですが、当時はウィーンでも、このバグパイプを使って演奏する流しの歌手がいたようで、アウグスティンは酒場に行っては演奏していたそうです。こちらでは、酒場で奏者に酒をおごることも多いので、結果として、アウグスティンは「伝説の酒豪」になってしまったとか。



彼の名前が一躍有名になったのは、ペストがウィーンでも猛威を振るっていた1697年、泥酔状態だったアウグスティンは、街頭で泥酔して寝てしまったそうです(「こうもり」のファルケ博士みたいですね)。

それを見た死体運搬人が、“アウグスティンもついにペストにやられてしまったのか”と誤解し、荷車に乗せて遺体を隔離する穴に放り込まれてしまいました。普通だったら、そのまま絶命していたのでしょうが、持っていたバグパイプを演奏して助けを呼び、無事、救出されました。

しかし、一晩、たくさんの死体と一緒に居たにもかかわらず、アウグスティンはペストに感染することはなく、このニュースは、ウィーン中を駆け巡ります。それ以来、「Der liebe Augustin」(愛しのアウグスティン)としてウィーン子に親しまれるようになったというお話。メロディを聴けば、皆さまもご存じの有名な歌にもなっていますね。

ちなみに「愛しのアウグスティン」さんは、ウィーンの色々なところに出没しています。最も有名なのは、観光客の皆さまも良く訪れるGriechenbeisl(ウィーン最古のレストラン)にいる「愛しのアウグスティン」さんではないでしょうか『オーストリアこぼれ話』より)



Griechenbeisl のアウグスティン



2012年9月20日木曜日

「聞くだけ」ではなく、「演奏」を。脳の訓練


子供たちは「楽器」を熱心に練習すると、学業成績も良くなるかもしれない。

「タイガー・マザー」の著者であるチュアは、バイオリンとピアノを娘たちに毎日何時間も練習させたという。楽器の練習が注意力と作動記憶、自己コントロール力を高めるためだという。

ノースウェスタン大学のクラウスは、脳波データを用いた研究により、音楽の練習が生徒たちに「聞き上手」になることを示した。音楽の訓練を受けた人々は、教室などザワザワと騒々しい環境でも、話を抽出して聞くことができる。これは、音楽家がそうでない人よりも音をクリアに知覚できるのと同じである。



また、クラウスの別の研究では、「脳トレゲーム」よりも「ギター」が有益であることも示した。「ギターを演奏するには、曲を覚え、辛い練習を重ねて、何度も何度も再現を試みる必要がある」。

数年前、モーツアルトを聞かせるだけで乳幼児の知能を伸ばすというブームがあったが、それは最新の研究では否定されている。「何らかの効果を上げるには、実際に楽器を演奏して脳を鍛える必要がある」とクラウスは言う。

「演奏を練習すればするほど、音の微妙な違いを区別する能力が磨かれるのであって、聞くだけでは不十分だ」とのことである。



出典:日経サイエンス 2011年 12月号
「脳科学が教える 学び上手にする方法」