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2016年11月22日火曜日

どこから来た?[ミトコンドリアと葉緑素]



動物細胞と植物細胞のちがいは?

植物細胞には「ミトコンドリア」と「葉緑素」があるのに、動物細胞には「ミトコンドリア」しかない。

なぜ?


植物細胞には「葉緑体」と「ミトコンドリア」がある



その答えを知るには「生命の起源」を探る必要がある。

生命の起源


地球は今からおよそ46億年前に誕生した。そのころの地上には、生物に有害な放射線や紫外線がふりそそぎ、火山活動が活発で、陸上は生物が生存するには厳しい環境だった。



生命以前の厳しい地球環境



一方、地球が誕生して間もなく、海が形づくられた。海の中にはいろいろな物質が溶け込み、さらに放射線や紫外線などのエネルギーによって様々な物質が新たにつくられていた。その中には、生物に欠かせないタンパク質の構成成分アミノ酸や、DNAの構成成分である核酸なども含まれていた。

そして、海の中にあつまった生命の材料から、およそ38億年前、最初の生命といわれるものが誕生したと考えられている。地球が誕生して間もないころの環境と、よく似た場所を今でも深い海の底で見ることができる。

ここがその場所。ブラック・スモーカーと呼ばれていて、300℃の熱水が吹き出している。生命が最初に誕生した場所は、このような地球内部の熱が噴きだす海底だった可能性が高いと考えられている。



生命発祥の地とされる「ブラック・スモーカー」



北アメリカ大陸最大の火山地帯、イエローストーン国立公園。100℃ちかい熱湯がドロと一緒に吹き出している。酸性度はpH1という強い酸性。しかも、この熱湯に酸素は含まれていない。

じつは、この熱湯のなかで暮らしている生物がいる。その生物を電子顕微鏡で見てみると、細胞のなかに膜でおおわれた核をもたない「原核生物」だ。地球に誕生した最初の生命は、酸素をつかわずに有機物を分解しエネルギーをつくりだすことができる、このような原核生物だったと考えられている。



地球最初の生命「原核生物」



最初の地球には「酸素」がなかった。ゆえに最初の生物は、酸素をつかわずにエネルギーを作りだしていた。

では、酸素はどうやってできたのか?

それは約27億年間前に誕生したといわれる「シアノバクテリア」の生み出したものだった。



酸素の生みの親「シアノバクテリア」



ここはオーストラリアのハメリンプールにある海岸。シアノバクテリアは、この岩のようなものの表面にいる。表面から泡がでている。この泡には、シアノバクテリアが光合成によってつくりだした「酸素」が含まれている。

シアノバクテリアは光と水と二酸化炭素があれば光合成ができる。そのため、ブラック・スモーカーのような熱水が噴きだす深い海底を離れ、光と水のある場所、つまり光のとどく浅い海で繁殖していった。

その結果、たくさんの「酸素」がつくられ、地球は大気のなかに酸素をもつ星になったのだ。



生命は「真っ暗な海」から「明るい海」へ、その歩をすすめた。



「酸素」は最初、生物にとっては有害だった。酸素によってDNAなどがダメージを受けるのだった。

多くの生物にとって酸素は有毒だったが、いずれ酸素を利用する生物(細菌)が地球上にあらわれる。そして、またたく間に大繁殖。地球のほぼ全域にはびこるようになった。なぜなら、酸素をつかうと途轍もないエネルギーが発生するからだった。



ヒトの祖先は、どれだ?



1. 酸素を使わない原核生物

2. 酸素を生みだすシアノバクテリア

3. 酸素を使う細菌



いよいよ、現在の生物の原型となる3者がでそろった。

ところで、この3者のうち「ヒトの祖先に一番ちかい生物」は?

正解は1番、「酸素を使わない原核生物」だ。



なぜ?

私たちは酸素をつかえるじゃないか。

いや、私たちは今でも酸素をつかえない。酸素をエネルギー源とできているのは、私たちの細胞内に「酸素を使える細菌」が共生しているからだ。その細菌が他でもない「ミトコンドリア」である。

酸素をつかわない原核生物が、酸素をつかう細菌を自らの細胞内に取り込んだことによって、今の動物細胞が形づくられたといわれている。一方、細胞内に「シアノバクテリア(葉緑体の原型)」のような生物を取り込んだ生命が植物細胞となった。



酸素を利用できるのは「ミトコンドリア」のおかげ



しかし、自分の細胞のなかに、他の生物が入り込んだなど、にわかには信じ難い。

それでも、その証拠はある。

それがミトコンドリアの「二重膜」。



なぜ、ミトコンドリアの膜は二重になっているのか?


ミトコンドリアの膜が、内膜と外膜の二重構造になっているのが、別の細胞のなかに入り込んだ痕跡だという。もともとミトコンドリアには内幕しかなかったのだが、ミトコンドリアが他細胞に侵入する際、他細胞の膜がミトコンドリアに貼り付いて、今の外膜になったと考えられている。



ミトコンドリアの外膜は、他の細胞に由来する。



動物・植物、両方の細胞内に入り込んだミトコンドリアだが、いまなお独自にDNAを保持している。これが細胞内共生とよばれる考え方である。



ミトコンドリアは独立国





出典:NHK生物基礎




2012年11月20日火曜日

自分を食べる細胞


ヒトは食事で食べるおよそ3倍の量のタンパク質を「リサイクル」しているのだという。

自分の身体のタンパク質をアミノ酸に分解して、ふたたび新しいタンパク質へと合成しなおしているというのだ。

あたかも、「細胞が自分自身を食べる」かのように…

なぜ?





2012年10月16日火曜日

なぜ髪の毛は白くなる? 半世紀以上の謎



なぜ、「髪の毛」には色んな色があるのか?

黒、金髪、ブロンズ…、そして白。

髪の毛の色は「メラニン色素」によって色づけされているのだが、「その色素細胞がどこから供給されるのか、『半世紀以上の謎』となっていた」。



ようやく解明されて判ったことは、そのシステムに「幹細胞」が関係していたということである。幹細胞というのは、これからどんな細胞にもなることができる、子どものように幅広い可能性をもった細胞のことだ(iPS細胞・ES細胞)。

それは、まだ職業が決まっていない学生のような状態であり、その仕事がまだ決まっていないのである。ちなみに、このニート的なフリーランスな状態を「未分化」という。一方、職業と仕事が決まってしまった状態を「分化」と呼ぶ。

すなわち、幹細胞というのは、分かれるか分かれないのか、その「分岐点」にいる状態なのだ。



分化というのは、別の言葉でいえば「年をとる(老化)」ということ。年をとるにつれ、細胞は「分化」して定職につくようになるのである。

これを髪の毛の根元(毛包)の中にある幹細胞に置き換えてみると、髪の老化というのは「白髪」や「脱毛」。これらは、細胞が分化してしまった結果として起こることなのだそうだ。

髪の毛に色が付くのは、毛包内に未分化な幹細胞が豊富にあるからこそ成せる業である。ところが老化とともに、毛包内の未分化な幹細胞が減ってくると、だんだん色素を作れなくなってしまう。そして、白髪になるのだ。また、脱毛にもつながるのだ。



では、もし毛包内の細胞を「初期化」、すなわち分化した細胞を未分化な状態にまで逆戻りさせることができたら…、真っ白だった髪の毛はクログロと、つるつるだった頭はフサフサに…、なるのだろうか?

もしそれが可能なら、ノーベル賞をとった山中伸弥氏の功績は、「豊かな頭上世界」を演出することにもなるのだろう。





ソース:日経 サイエンス 2012年 01月号
「幹細胞から白髪・脱毛のメカニズムを探る」