2012年11月9日金曜日
人間の遺伝子を変えるかもしれない食物
まさか、「食べた食物が人間の遺伝子を変える」などということがあり得るのであろうか。
しかし、それを示唆する実験は実際にある。
「たとえば、米に由来するある特定の『マイクロRNA』は、血中から悪玉コレステロールの除去を調節している受容体に結合し、その働きを阻害していることがわかった」
「マイクロRNA」というのはヌクレオチドの短い配列で、タンパク質をコードしてはいないが、特定の遺伝子に作用して、その遺伝子にコードされたタンパク質の生成を阻害する。
南京大学のチャンらは、30人の被験者の血液を調べた結果、日常的に食べられている植物に由来する約30種類のマイクロRNAが、その血中に含まれることを突き止めた。
「マイクロRNAは、ビタミンやミネラルと同様、食物からもたらされる機能性分子なのかもしれない。今までは知られていなかったが…」
この発見は「共進化」にも力を与える。共進化というのは、ある生物種の遺伝的変化が別の種の変化を誘発する現象である。
たとえば、人間が大人になっても牛乳中のラクトースを消化できるようになったのは、牛が「家畜化された後」だった。つまり、人間を遺伝子を変えたのは家畜化された牛だった可能性があるのだ。
それと同様、「人間が栽培した作物も、人間を変えてきたのではないだろうか?」
「食べ物が身体を作る」という古くからの格言は、単なる栄養素としてだけの話ではないのかもしれない。もしかしたら、人間の細胞の最深部にある司令室、遺伝子にも入り込んでいるのかも…。
「自然の中で孤立して存在しているものは、なにもない」
ソース:日経 サイエンス 2012年 02月号
「食べ物から来たマイクロRNA」
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