ラベル 高齢化 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 高齢化 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2012年11月9日金曜日

知識とハサミは使いよう



「30歳までに科学に大きな貢献をしなかった人は、その後も決して科学に貢献することはないだろう」

かつて、アインシュタインはこう述べた。



しかし、ノーベル賞を見てみると、「受賞者が研究業績を上げた年齢が、どの分野についても『高齢化』していることがわかった」。

つまり、アインシュタインの頃とは時代が変わったということだ。



ところで、何が変わったのか?

「若者に利がある『理論研究』から、知識の集積を必要とする『実験研究』へと重点が移ったのが一因だろう」と見る専門家がいる。



だが、それでも「革命の誕生」には、「確立された知識がむしろ妨げとなる」可能性はある。

「この先に科学革命が準備されている場合、それを成し遂げるのは再び『若手』となるのだろう」



「知識」というのは両刃の剣。

それが武器になることもあれば、それが妨げとなることもある。

「知識とハサミは使いよう」ということか。





ソース:日経 サイエンス 2012年 02月号
「若くなくても」

2012年9月20日木曜日

祖父母に栄えた人類は、祖父母に耐えられるのか?


クラピネ遺跡(クロアチア)から発掘された「ネアンデルタール人」で、30年以上生きた者は皆無だったという。また、シマデロスウエソス遺跡(スペイン)においても、35歳以上生きた個体はマレであった(歯の摩耗具合をもとに推定)。

ネアンデルタール人すべての寿命が30歳前後だったかどうかは不確かにせよ、その寿命は現生人類よりもはるかに短かったことが推測されている。

もし、15歳で子どもを産むとしても、その親が祖父母になるのは30歳。そう考えると、少なくとも30歳以上まで生きなければ、子・親・祖父母の3世代は揃わない。つまり、30歳以上まで生きるのがマレだったネアンデルタール人たちには、「祖父母があまりいなかった」と考えられる(成人10人に対して、祖父母は半分以下の4人)。



一方、ヨーロッパにいた現生人類はネアンデルタール人よりも長寿であり、成人10人につき、祖父母層はその倍の20人は存在したと推定されている。つまり、我々現生人類は3万年ほど前から、「祖父母」という家族形態をとっていたと考えられるのである。これは動物界では極めて異例のことである。なぜなら、普通の動物は次世代を生み育てれば、親世代は死ぬのだから。

そして、その祖父母たちの知恵や伝承が、さらに現生人類の寿命を伸ばしたとも推測される。この長寿命化(高齢化)の好循環は現生人類の人口増をもたらしたであろうから、今の繁栄の礎にもなったものと思われる。

ところが現在、凄まじいまでのスピードで進んだ高齢化は、人類にとっての重い負担ともなりはじめており、かつての好循環は悪循環ともなりつつある。しかしまあ、高齢化により栄えた人類が、その高齢化で衰えようとしているのは、なんとも皮肉な因果ではあるまいか。



出典:日経サイエンス 2011年 12月号
「祖父母がもたらした社会の進化」