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2017年5月1日月曜日

AI Agriculture [Caleb Harper]


AI Agriculture
Caleb Harper, Founder at OpenAg | MIT Media Lab








2016年11月21日月曜日

実在は「脳の錯覚」か?



被験者から見えるのは、ゴム製の「偽の右手」。

本物の右手は仕切りによって見えないようになっている。



両手の間に置かれた「偽の右手」



本物の右手と、偽物の右手。

その両方を同時に筆でなでられると…



ゴムの手を「自分の手」と錯覚してしまう。


偽物だと明らかにわかっているにも関わらず、「触られているという感覚」が脳に錯覚をおこさせる。



錯覚を起こしている脳細胞



触られるという「触覚」は、脳にリアルを実感させる絶大な効果がある。



叩かれる?


脳が錯覚を起こしている状態で、偽の右手をハンマーで叩こうとすると…



「痛い感じがした」



もはやゴムの右手を、脳は偽物だと思っていない。

痛いという感覚までをも体感させてしまう。



これを専門的には「ラバーハンド・イリュージョン」と呼ぶ。


「脳が錯覚をおこして、ゴムの手が自分の手だと思い込んでしまうのです。筆でなぞられるという触覚情報によって、脳は一気に現実だと判断してしまうのです」







書籍『脳のなかの幽霊』でラマチャンドラン博士が明らかにしているように、触覚という感覚はとどのつまり、脳がつくりだす電気信号にすぎない。

ゆえに、以下のような錯覚も容易に引き起こされる。



超音波による、まぼろしの触覚



「何もない空間に、超音波によってモノの触り心地を再現することができます」

その感触はリアルそのもの。だが、その実感は数百の超音波センサーから発せられた波動(振動)にすぎない。







果たして、われわれの空間に、モノは本当に存在しているのだろうか?

触れるからといって、その実在が証明されたことにはならない。



色即是空

空即是色






出典:NHKサイエンスゼロ
「驚異の体感! 触覚テクノロジー最前線」




2016年11月9日水曜日

衛星エウロパの「水」




9月27日、木星の衛星エウロパに関するNASAの重大発表がありました。

エウロパは直径約3,200km、月よりもやや小さく、表面が氷でおおわれた天体です。そのエウロパで、なんと「水蒸気らしき物質」が吹き出しているというのです。

その現象を観測したウィリアム・スパークス博士。エウロパに注目したのは、まさに地球外生命を探すためでした。







ウィリアム・スパークス博士
「生命体を探すために、はるか遠くの天体を観測する必要はありません。わたしたちは太陽系のなかに、その天体を見つけたのです。それがエウロパです」

地下に海があるならば、地球の間欠泉のように、地表のどこかに水の噴き出す場所があるはずだ。ハッブル宇宙望遠鏡で徹底調査をおこなうことにしました。2013年から1年3ヶ月のあいだ10回にわたり観測。

その結果、なんと3回の観測でついに噴き上がる影をとらえました。水蒸気らしきものが200kmもの高さに噴き上がっていたのです。



木星の衛星エウロパから噴き出る「水蒸気らしきもの」




ウィリアム・スパークス博士
「氷を掘らずに、直接水を採取できるかもしれません。そうすれば、生物がいる証拠を探すのは、ずいぶん簡単なことになります。だから、この発見はスゴイのです」



エウロパに地球外生命はいるのか?



エウロパに生命はいるのか?

今後の探査に期待がかかっています。






出典:NHK サイエンスZERO
「木星最接近!探査機ジュノーの最新報告!」


木星の「オーロラ」



地球のオーロラは「太陽風」によって発生します。

秒速800kmにもなる電子や陽子などの粒子が、地球の大気に衝突することでオーロラが発生するという仕組みです。そのため、太陽風の強い強弱を受けて大きくなったり小さくなったりします。







しかし、木星のオーロラは違います。

これは人工衛星チャンドラがX線カメラで撮影した木星のオーロラです。木星の両極に、太陽風の強弱に関係なく光り続けています。しかも、地球のオーロラの1,000倍のエネルギーをもつという巨大さ。いったいなぜ、これほど強く光り続けることができるのでしょうか。



人工衛星チャンドラの撮影した木星オーロラ



カナダに生まれ、小さい頃からオーロラに親しんできた、ランディ・グラッドストーン博士。木星オーロラの魅力に取りつかれ、今回のジュノー計画にもオーロラの分析で参加しています。

ランディ・グラッドストーン博士
「木星のオーロラは、地球のオーロラよりも1,000倍も明るく大きいのです。わたしは何がこの木星のオーロラを生じさせるのか、ずっと関心があったのです」

グラッドストーン博士は、木星オーロラの原因は木星の衛星イオにある、と言います。イオには太陽系最大の火山活動があり、そこから大量の粒子が常に放出されています。一方、木星には巨大な磁気圏があり、太陽とは反対の方向に尾をひくように伸びています。

この磁気圏に、イオから放出された粒子がとらえられます。粒子は、木星の自転によって生じる遠心力で磁気圏の外側に流され、その大部分が磁力線をつたって木星の極に流れ込みます。これが木星の大気に衝突することでオーロラが発生するという仕組みです。

このように、木星のオーロラは衛星イオの火山活動と木星の自転によって起こります。そのため、太陽風に関係なく光り続けるというのです。



衛星イオのつくる木星のオーロラ



そして遂に、史上初となる至近距離での木星オーロラの撮影がおこなわれました。それがこちら。赤外線カメラがとらえた木星のオーロラです。直径は地球3個分の大きさ。色が明るいところほどエネルギーの量が多いことを示しています。



赤外線カメラによる木星のオーロラ



さらに、グラッドストーン博士が驚いたのが、もう一つのオーロラ画像でした。それがこちら。紫外線カメラで、北極の真上からオーロラを写した画像です。ここには木星の自転だけでは説明のつかないオーロラがありました。最も大きなオーロラとは別に、小さなオーロラの光が複数、存在していたのです。

グラッドストーン博士
「これは木星の衛星たちの痕跡です。木星のオーロラはいくつもの要因が重なってできるものだったんです」



木星のオーロラには、さまざまな衛星が影響していた



衛星たちの痕跡とは、いったい何なのか? 木星にはイオのほかに、エウロパ、ガニメデなどの衛星が存在しています。じつはこの画像が撮られたとき、3つの衛星はそれぞれこのような位置にいました。そして、これらの衛星と木星は磁力線によって結ばれています。この磁力線に沿って粒子が木星の極に入り込んだというのです。さまざまな奇跡が重なってできた絶景、それが木星の巨大なオーロラだったのです。







出典:NHK サイエンスZERO
「木星最接近! 探査機ジュノー最新報告!」


人の流れと障害物



たとえば、駅や公共スペースでは中央に切符売り場などの障害物が置かれていることがあります。不思議なことに、障害物があったほうが人の流れがスムーズになるのです。

「障害物があると、人は自分の動きに自覚的になります。進むべきコースをきちんと考えるため、結果的に人の流れがよくなるんです」



障害物があったほうが
人の流れは良くなる



出典:モーガン・フリーマン「時空を超えて」
運命か? 自由意志か?


2016年11月8日火曜日

金属元素の「炎色反応」




白金線の先に、食塩の水溶液(塩化ナトリウム、NaCl)をつけて、ガスバーナーの炎に近づけてみると…

「あ、黄色くなりました!」



銅が含まれた水溶液では…

「黄緑色ですね」



ナトリウム「黄色」
銅「青緑色」



「炎色反応では、金属元素によって炎の色が変わるんです」



リチウム「赤色」

カルシウム「橙赤色」

バリウム「黄緑色」

ストロンチウム「紅色」






この炎色反応、身近なところでは花火に利用されています。







赤い花火は「ストロンチウム」、黄色は「ナトリウム」の色なんです。







出典:NHK高校講座「化学基礎」



2012年10月3日水曜日

利他行動の謎の末に死んだ科学者






「なぜ、利他行動は生じるのか?」

この謎を追い求めた末にホームレスとして死んだ異端の科学者「ジョージ・プライス」。

その驚愕の伝記。



※利他行動とは、他人のために自分を犠牲にする行為

タブーな実験



「肥満の母親に宿った『受精卵』を、ヤセ型の母親のそれと『交换』したら、生まれてくる子どもは、肥満かヤセか?」

これは人間が「やってはならない実験」の一つである。つまり、倫理上不可能な実験ということだ。

女性の子宮は「聖域」であり、その核心たる受精卵にはおいそれと手を触れるわけにはいかない(日本は受精から7日目以降をヒトとみなす)。



もっと恐ろしい実験は、ヒトとチンパンジーの交配だ。

ある科学者が「想像しうる限り、もっとも興味深い実験」と言ったというが、それは「もっとも恐ろしい実験」の一つである。



出典:WIRED (ワイアード) VOL.4 (GQ JAPAN2012年6月号増刊)

猛スピードで生き急ぐ大腸菌


人間の40万倍のスピードで生きるという「大腸菌」。

その一世代は、わずか30分。

恐るべき進化のスピードである。



出典:WIRED (ワイアード) VOL.4 (GQ JAPAN2012年6月号増刊)

2012年9月24日月曜日

赤ワインは、本当に寿命を延ばすのか?


フランス人はなぜ、心筋梗塞にならないのか?

あんなに脂っこいモノばかり食っているというのに…。

これは「フレンチ・パラドックス」と呼ばれる現象である。



そこで注目されたのが「赤ワイン」。

フレンチ・パラドックスは、ポリフェノールの一種「レスベラトロール」に、その秘密があると考えられるようになった。

赤ワインに含まれる「レスベラトロール」が、サーチュイン遺伝子という「長寿」を司る遺伝子を活性化させるという結果が報告された。



ところが一方では、それを否定する論文も発表される。

「サーチュイン遺伝子(sirtuin)は、本当に寿命を決めているのか?」

赤ワインの効用や、いまやふたたび「樽の中」に戻された。





出典:WIRED (ワイアード) VOL.4 (GQ JAPAN2012年6月号増刊)
「赤ワインは魔法の秘薬か? 長寿をめぐる今時の知見」

2012年9月23日日曜日

ゲノム解析一時間一万円なり


Googleの創始者、セルゲイ・ブリンが「パーキンソン病」にかかる可能性が高いことは、よく知られている。ゲノム解析の結果、判明したことだ。

そのため、ブリン本人が積極的に医療、バイオ分野に関わるようになったのはもちろん、その夫人もアメリカきってのゲノム解析サービス企業「23andMe」の共同創業者となっている(Google Venturesが支援)。



しかし、ヒトゲノム(遺伝子)の解読によって、病気の原因はどれくらいわかるようになったのだろうか?

たとえば、自閉症の原因は「遺伝子の異常」だと考えられているが、原因となる遺伝子は未だに見つかっていない。

ちなみに現在、ヒト1人のゲノムを1万円、1時間で解読することも夢ではないという。





出典:WIRED (ワイアード) VOL.4 (GQ JAPAN2012年6月号増刊)
「自閉症とDNA」

2012年9月22日土曜日

自らの肺をつぶすアシカ


なぜ、アシカは「潜水病」にかからないのか? 300mも潜水するというのに…。

人間であれば、「減圧症」という潜水病にかかり、時には死んでしまう。それは、水中深くいる時に、その水圧で血液中の「窒素」が圧縮されており、急に浮上すると、その縮んでいた窒素が急速に膨張してしまうためだ。



さっそく、アシカに機器を取り付け、潜ってもらおう。

するとそのアシカ、水深225m付近で、意図的に「肺を潰していた」。それは、血液に取り込まれる「窒素」を遮断するためだという。ちなみに、潜水をする他の哺乳類でも同様に、肺を縮めることが知られているそうだ。

肺を潰したまま、水深300mまで潜水していったアシカ。今度は一転、再浮上。

すると、水深247m付近で、今度はふたたび肺を元に戻していた。



自然界には、アシカよりも深く潜水できる動物はたくさんいる。

たとえば、皇帝ペンギンは水深500m以上、ゾウアザラシは水深1,500m以上だ。

潜るようにできている動物たちは、そもそもの身体のシステムがそうなっているということだ。



出典:AFP
「アシカの潜水病を防ぐメカニズムを解明、アメリカ研究」

無知を知ったDNA解読


世界初のヒトゲノム解読には、30億ドル(2,400億円)を超える予算と、10年もの歳月がつぎ込まれた。

しかしその結果たるや、ヒトゲノムの実に98%が「わけのわからない謎の領域」だったという事実のみである。



ゲノムというのは、DNAに刻まれた生命の情報のことであり、そこには身体の材料となる「タンパク質」の作り方が記されていると思われていた。

確かにそうだったのだが、タンパク質の作り方を記している部分は「たったの2%」。そして、残りの98%の領域からは、60年もの間、単なるDNAのコピーとしか思われていなかった「RNA」が生み出されていたのである。



ある仮説によれば、DNAは情報を保管しておくための「図書館」にすぎず、本当の主役はRNAだということになる。

DNAは情報の記憶しかできないが、RNAはその記憶に加え、タンパク質のように酵素として働くこともできる。いまはまだ分からないことの多いRNAだが、その働きの多彩さはDNAの及ぶところではない。

それゆえ、最初の生命を生み出したのはDNAではなく、RNAだったのではないかという「RNAワールド仮説」なるものも提唱されている。コピーだと思われていたRNAが実は元データで、DNAの方がバックアップだったのか?



DNAさえ解読すれば、生命の神秘が明かされるとおもっていた人類。

ところが、それは単なる入り口にすぎなかったようだ。

まだまだ未知のRNA大陸、その探検は口火を切ったばかりだ。



出典:WIRED (ワイアード) VOL.4 (GQ JAPAN2012年6月号増刊)
「生命の『コード』は謎だらけ」

2012年9月20日木曜日

「左脳タイプ」、「右脳タイプ」はいない?


脳にまつわる神話

「左脳タイプ」と「右脳タイプ」がいる。



左脳は「論理的思考(言語)」に、右脳は「直感や芸術(空間能力や感情表現)」に使われるという主張は「作り話」だ。

脳画像研究においては、右半球(右脳)が創造活動の中枢だという証拠は得られていない。そして、脳は読字と計算なども含め、あらゆる認知機能において、左右両方の脳半球を使っている。

右脳・左脳を分けて考えたがるのは「心理学者」であったり、「教育者」であったりするだけで、決して科学者ではない。



出典:日経サイエンス 2011年 12月号
「それって本当? 脳にまつわる5つの神話」

未知の海底世界

地球上で最も探査が進んでいない領域、それは「海底」だ。水深が平均4,000mにもなる海洋底は、月や金星とくらべても測量が進んでおらず、測量された海域は全体の15%にとどまる。

海底の動きを見ると、太平洋が「徐々に狭まっている」のが分かる。東太平洋海膨では一年に最大22cmずつ新たな海底が生まれている一方で、古い海底は周縁部の海溝からマントルへと沈み込んでいるからだ。

また、南北アメリカ大陸は一年に約25mmずつ、大西洋を隔てたヨーロッパやアフリカ大陸から「遠ざかっている」。それは大西洋の中央に位置する世界最長(2万km)の海底山脈・大西洋中央海嶺が、海底から東西に広がっているためだ。



出典:NATIONAL GEOGRAPHIC (ナショナル ジオグラフィック) 日本版 2012年 09月号
特別付録「世界の海底」

祖父母に栄えた人類は、祖父母に耐えられるのか?


クラピネ遺跡(クロアチア)から発掘された「ネアンデルタール人」で、30年以上生きた者は皆無だったという。また、シマデロスウエソス遺跡(スペイン)においても、35歳以上生きた個体はマレであった(歯の摩耗具合をもとに推定)。

ネアンデルタール人すべての寿命が30歳前後だったかどうかは不確かにせよ、その寿命は現生人類よりもはるかに短かったことが推測されている。

もし、15歳で子どもを産むとしても、その親が祖父母になるのは30歳。そう考えると、少なくとも30歳以上まで生きなければ、子・親・祖父母の3世代は揃わない。つまり、30歳以上まで生きるのがマレだったネアンデルタール人たちには、「祖父母があまりいなかった」と考えられる(成人10人に対して、祖父母は半分以下の4人)。



一方、ヨーロッパにいた現生人類はネアンデルタール人よりも長寿であり、成人10人につき、祖父母層はその倍の20人は存在したと推定されている。つまり、我々現生人類は3万年ほど前から、「祖父母」という家族形態をとっていたと考えられるのである。これは動物界では極めて異例のことである。なぜなら、普通の動物は次世代を生み育てれば、親世代は死ぬのだから。

そして、その祖父母たちの知恵や伝承が、さらに現生人類の寿命を伸ばしたとも推測される。この長寿命化(高齢化)の好循環は現生人類の人口増をもたらしたであろうから、今の繁栄の礎にもなったものと思われる。

ところが現在、凄まじいまでのスピードで進んだ高齢化は、人類にとっての重い負担ともなりはじめており、かつての好循環は悪循環ともなりつつある。しかしまあ、高齢化により栄えた人類が、その高齢化で衰えようとしているのは、なんとも皮肉な因果ではあるまいか。



出典:日経サイエンス 2011年 12月号
「祖父母がもたらした社会の進化」

北欧のスマートな自動車と自転車


ストックホルム(スウェーデンの首都)の道路料金の課金システムは、市の中心部に入ってくる自動車のナンバー・プレートをカメラが自動で認識し、どこに行くかに応じて、一日に60クローナ(670円)を上限に、運転者に通行料金を請求する。

このシステムの導入によって、自動車が都市中心部を通り抜ける際の待ち時間が最大50%削減され、そのお陰で汚染物質の排出量も最大15%減ったとされている。



また、コペンハーゲン(デンマークの首都)の自転車には、後輪に赤い円盤のようなものが取り付けられているのを目にする。これは「コペンハーゲン・ホイール」と呼ばれるもので、この赤い円盤を手持ちの自転車に取り付ければ、電動アシスト自転車に変えられるという優れモノである。

この赤いホイールはスマートフォンによって制御されており、気温や湿度、大気汚染度などを測定して、リアルタイムの環境データベースに送信される。




抜粋:日経サイエンス 2011年 12月号
「都市の力 進化するソーシャルネクサス」