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2012年9月20日木曜日

人命の犠牲をともなうエネルギー生産


過去30年間における「発電にともなう死者数」をみると、先進国では「石炭」利用にともなう被害が最も大きい。とくに「採掘段階」が最も危険だ。石油と天然ガスでは、事故の大半が「配送段階」で起こっている。原子力では「発電段階」のリスクが大きい。



年間発電1億kWあたりの死者数(生産段階)

石炭………12.00人
石油………9.37人
天然ガス…7.19人
原子力……0.73人
水力………0.27人
風力………0.19人
太陽電池…0.02人

スイス、パウル・シェラー研究所調べ



しかし、人的被害で最も大きな部分を占めるのは、直接的な「事故」ではなく、より間接的な「環境汚染」によるものだという。たとえば、化石燃料を燃やす発電所から排出される「微粒子」による大気汚染は、深刻な健康被害をもたらしている。

肺炎(入院件数) 4,040
心血管障害(入院件数) 9,720
早死に 3万100
急性気管支炎 5万9,000
慢性気管支炎 60万3,000
仕事の欠勤 513万

以上、アメリカにおける1年あたりの平均件数。



出典:日経サイエンス 2011年 12月号
「エネルギーに伴う人的犠牲」



未知の海底世界

地球上で最も探査が進んでいない領域、それは「海底」だ。水深が平均4,000mにもなる海洋底は、月や金星とくらべても測量が進んでおらず、測量された海域は全体の15%にとどまる。

海底の動きを見ると、太平洋が「徐々に狭まっている」のが分かる。東太平洋海膨では一年に最大22cmずつ新たな海底が生まれている一方で、古い海底は周縁部の海溝からマントルへと沈み込んでいるからだ。

また、南北アメリカ大陸は一年に約25mmずつ、大西洋を隔てたヨーロッパやアフリカ大陸から「遠ざかっている」。それは大西洋の中央に位置する世界最長(2万km)の海底山脈・大西洋中央海嶺が、海底から東西に広がっているためだ。



出典:NATIONAL GEOGRAPHIC (ナショナル ジオグラフィック) 日本版 2012年 09月号
特別付録「世界の海底」

都市、バンザイ


「村では女性が夫と親族に従い、雑穀を粉にひいて歌うのが全てだった(Whole earth discipline)」

そんな時代は今や昔、2008年に農村人口と都市人口の逆転が起こり、いまや世界の都市人口が総人口の半分を超えている。20世紀に入り、都市人口は2億5,000万人から28億人へと10倍以上に急増したのである。



かつて、アメリカの建国の父たちは、都市を「貧困と犯罪、環境汚染、不健康の中心」であると考えていた。しかし、それは本当か?

上下水道への投資の甲斐あって、先進諸国の都市は疫病の巣から健康の砦に変わった。自動車事故やピストル自殺による死亡リスクは都市生活者の方が低い。

ちなみに、世界10大都市域のランキングでは、ずっと日本の東京都市圏(人口3,670万人)が1位だ。



出典:日経サイエンス 2011年 12月号
「都市の力 知恵を生む場所」

都市のマジック。プラス15%の法則


都市は人口が多いほど、「分け前」も多い。

たとえば、ある都市の人口が2倍になると、その平均所得は2倍以上になるという。ボーナス的に「プラス15%」が加算されるのだ。この法則は、人口4万の都市が8万になろうが、その100倍の400万都市が800万になろうが、変わることなく機能する。

一方で、都市が必要とする資源やエネルギーに関しては、これと全く逆の法則が成り立つ。都市の人口が2倍になれば、インフラ設備(電気・水道・道路など)が2倍必要となるわけではない。それよりも「マイナス15%」少なくて済むのだ。



都市の人口が増えるほどに、生産性が増して収入が15%上乗せされ、その一方で出費は15%もカットできる。これが「都市マジック」だ。

さらに、人が集まるほどイノベーション(革新)も加速する。古くはプラトンとソクラテスが都市国家アテネに、ガリレオとミケランジェロはルネサンス期の都市フィレンツェに、そしてスティーブ・ジョブズとウォズニアックはシリコンバレーの大都市圏に暮らしていた。都市におけるイノベーションの加速は、特許出願数の増加となって現れる。



なぜ、都市ばかりが不思議な動きを見せるのか?

人口が増えれば、非効率なことは排除される力が働く。たとえば、高い家賃を払っているのなら、それに応じて価値の高いものを生み出す必要が生じる。その結果、収益性が高まれば、都市の価値が上がり、家賃はもっと高くなる。そうなれば、さらに相当の価値を生み出さなければならなくなる。

こうしたフィードバック・メカニズムが、都市の富、そしてイノベーションを常に「人口増加分プラス15%」に保ち続けるのである。



出典:日経サイエンス 2011年 12月号
「少ない資源から多くを生み出す都市」

なぜ、都市の住民は長生きなのか?


都市は、住民たちに「健康」をもたらすようだ。

世界の大都市、ニューヨークの住民の平均寿命は、全米平均よりも「1年以上長い」。



それは、なぜか?

高齢者がなぜ長生きなのかは判然としないが、「若年層」に限っては、その理由は明白だ。

35歳未満の若年層における主な死因は「交通事故と自殺」だが、都市部ではそのいずれもが極めて少ない。ニューヨークの交通事故による死亡率は、アメリカ全体に比べて「70%以上低い」。

一杯ひっかけた後に地下鉄に乗るのは、酔っ払って車を運転するよりも、ずっと安全だということか…。



出典:日経サイエンス 2011年 12月号
「都市の力 革新のエンジン」