「山芋から化ける途中のウナギがとれた」
明治時代の新聞には、こんな奇妙な記事が載っている。山道でウナギを見つけた御仁は、きっと不思議に思ったのだ。「川を泳ぐはずのウナギが、なぜか地を這っている…」と。
そして、中国の言い伝えでも思い出したのだろう。「山芋が変じて、ウナギとなる」とかいう…。納得のいった御仁、「ああそうか、このウナギは山芋から化けたばかりで、川へと向かう途中だったのだ」。
じつは、ウナギが山道を這うのは珍しいことではない。体表にウロコをもたぬウナギは、皮膚の毛細血管が露出しているために「皮膚呼吸」もできる。それゆえ、身体に湿り気さえあれば、水中でなくとも一週間くらいは生き続けられるのだ。
洪水などで川から打ち上げられたとしても、ウナギは山中を這って、また元の川へと戻っていけるのである。明治の御仁はきっと、そんなウナギでも目にしたのであろう。