2012年10月30日火曜日

中心視野と周辺視野


人間の目で見ている範囲は、すべて均一に見えているのではなく、「中心視野」と「周辺視野」がある。

最近の心理学によると、じつは脳内の反応速度は、中心視野よりも周辺視野のほうがわずかに速いとのこと。



ソース:MacFan 2012年10月号


2012年10月28日日曜日

プラスチックを作り出すハチ



「プラスチック」を作り出す「ハチ」がいるというのだが…。

それは「コレテス属(Colletes)」というハチの仲間で、地下に「人の小指ほどの太さのトンネル」を掘って暮らしているのだという。



このハチの地下室は、その内壁が「透明なセロファン状の物質」で覆われている。

絹糸状の繊維を敷き詰めた上に塗り込められたプラスチックは「実に頑丈」。研究室で分析しようにも、よほどに危険な薬品でなければ、化学的に分解できないほど。



このプラスチックは、明らかに生物が作り出した物質である。

しかし、なぜ「生分解性」がないのか?

このプラスチックを分解できる細菌はいるのであろうか?



もし、このハチの作り出す異常に強力なプラスチックが、他生物により分解・再生できるのならば、それは今後、人間も利用できる有力な素材となる可能性がある。

というのも、「ゴミ埋め立て場にプラスチックの容器がいつまでも残るのは問題だ」。





ソース:日経 サイエンス 2012年 02月号
「ハチが作り出すプラスチック」

2012年10月16日火曜日

宇宙最初の星と、そのカケラ。


「重元素は、星の核融合でしか生まれない。つまり我々は皆、星のカケラということになる(森山和道)」



著者が研究ターゲットを「宇宙で最初の星」にしたのは、それが「クリーン」であるから。余計な条件が少ないので、ある程度「理論だけ」でいけてしまうというのだ。

ただ、サイエンスの計算能力だけが上がっても、「人間のほうが数値データに意味づけできなければ、無意味」とも。



ソース:日経 サイエンス 2012年 01月号
「森山和道の読書日記」

なぜ髪の毛は白くなる? 半世紀以上の謎



なぜ、「髪の毛」には色んな色があるのか?

黒、金髪、ブロンズ…、そして白。

髪の毛の色は「メラニン色素」によって色づけされているのだが、「その色素細胞がどこから供給されるのか、『半世紀以上の謎』となっていた」。



ようやく解明されて判ったことは、そのシステムに「幹細胞」が関係していたということである。幹細胞というのは、これからどんな細胞にもなることができる、子どものように幅広い可能性をもった細胞のことだ(iPS細胞・ES細胞)。

それは、まだ職業が決まっていない学生のような状態であり、その仕事がまだ決まっていないのである。ちなみに、このニート的なフリーランスな状態を「未分化」という。一方、職業と仕事が決まってしまった状態を「分化」と呼ぶ。

すなわち、幹細胞というのは、分かれるか分かれないのか、その「分岐点」にいる状態なのだ。



分化というのは、別の言葉でいえば「年をとる(老化)」ということ。年をとるにつれ、細胞は「分化」して定職につくようになるのである。

これを髪の毛の根元(毛包)の中にある幹細胞に置き換えてみると、髪の老化というのは「白髪」や「脱毛」。これらは、細胞が分化してしまった結果として起こることなのだそうだ。

髪の毛に色が付くのは、毛包内に未分化な幹細胞が豊富にあるからこそ成せる業である。ところが老化とともに、毛包内の未分化な幹細胞が減ってくると、だんだん色素を作れなくなってしまう。そして、白髪になるのだ。また、脱毛にもつながるのだ。



では、もし毛包内の細胞を「初期化」、すなわち分化した細胞を未分化な状態にまで逆戻りさせることができたら…、真っ白だった髪の毛はクログロと、つるつるだった頭はフサフサに…、なるのだろうか?

もしそれが可能なら、ノーベル賞をとった山中伸弥氏の功績は、「豊かな頭上世界」を演出することにもなるのだろう。





ソース:日経 サイエンス 2012年 01月号
「幹細胞から白髪・脱毛のメカニズムを探る」

2012年10月8日月曜日

CD一枚分のヒトゲノム


ヒトゲノムの情報量は、およそ700MB(30億文字)。

つまり、だいたいCD一枚分。

生命の神秘の容量は、思ったよりも少ないものだ。



ソース:日経 サイエンス 2012年 01月号
「生命科学は21世紀の知的エンタメ」

2012年10月7日日曜日

ガンの過酷な3大治療


「この数十年間、ガン患者が受ける治療は主に3つ。手術、化学療法、放射線治療。

ガンを克服した患者はしばしば、この過酷な3大治療を『切られる(手術)・毒を飲まされる(化学療法)・焼かれる(放射線治療)』と辛辣に表現する」



ソース:日経 サイエンス 2012年 01月号
「がんワクチン新時代」

小型化するという進化。異色の恐竜男爵による大発見


「巨大化」を続ける恐竜がいた一方で、「小型化」していく恐竜も一部にはいた。

小型化(矮小化)していったのは、主に「島」などに住んでいた恐竜たち。彼らは島という「資源の限られた環境」に適応するために、身体のサイズが小さくなるように進化していったと考えられている(島與性・矮小化)。



この事実に初めて気がついたのは、恐竜男爵「ノプシャ」。

男爵との名が示すように、彼は実際にトランシルバニア(オーストリア・ハンガリー帝国)の貴族でもあった。貴族とはいえ、彼は宮廷に座していたばかりではなく、化石探しの冒険に明け暮れたり、第一次世界大戦時にはスパイとして暗躍していたという極めて活動的な人物だ。

宮廷生活を逃れることがよほど楽しかったのか、羊飼いの粗野な服に着替えたノプシャは、何ヶ月も、時には何年もの間、山中に姿を消したりもしていた。そのお供をしたのが、秘書兼恋人のドゥーダ。恐竜男爵は男色家でもあったとのことだ。



ノプシャの「恐竜が小型化していった」という説は、当時の研究者たちの固い頭には受け入れがたい斬新さがあった。そのために、「小さい化石は、単に『若くて成長途上』の状態にすぎない」と一蹴されてしまう。

そこでノプシャが考え出したのが、恐竜の骨を輪切りにして内部組織を解析する手法。樹木の年輪を数えるようにして、恐竜の年齢を推定したのである。

この解析の結果、ノプシャが宮廷の「裏庭」で見つけた小さな恐竜化石が、しっかりと「成体」に達していたことが確認された。つまり、恐竜の「小型化する進化」が証明されたのである。ちなみに、ノプシャが始めたこの解析方法は、現在でも標準的な手法として活用されている。



恐竜男爵ノプシャの化石探しの放浪は、第一次世界大戦が終わるとともに、その自由を奪われていく。

オーストリア・ハンガリー帝国が敗れたことにより、自領のトランシルヴァニアがルーマニアに割譲されて、所領と収入を失ってしまったのだ。それでもノプシャは今まで集めた恐竜の骨を切り売りしながら、自由奔放な旅を続けていた。

しかし、ついに貧窮の極まった恐竜男爵は悲しい決断を下す。恋人ドゥーダのお茶に睡眠薬を盛り、その頭を銃で撃ち抜き、そして、次には自らのこめかみを…。



最近の発見は、恐竜男爵ノプシャの科学的見解が「驚くほどの先見性」を備えたことを明らかにしている。

また、島に取り残された恐竜たちが「小型化」していったというノプシャの発見は、われわれ島国に住む日本人とも無縁ではないように感じられる。われわれの体格は欧米の人々よりもずっと「小型」なのだから…。



大きくなることばかりが進化ではなく、時には「小さくなる」という進化の方向性を示したのは、ノプシャの偉大なる功績である。それは、一方向にしか進み得ないと考えがちな西欧史観に異議を唱えた一石でもあったからだ。

われわれ日本人とて、決して劣っているわけではないのである。たとえ欧米人よりも小さいとはいえども…。

優秀なコンピューターほど、どんどん小型化を続けているではないか。





ソース:日経 サイエンス 2012年 01月号
「トランシルバニアの恐竜男爵」

2012年10月3日水曜日

利他行動の謎の末に死んだ科学者






「なぜ、利他行動は生じるのか?」

この謎を追い求めた末にホームレスとして死んだ異端の科学者「ジョージ・プライス」。

その驚愕の伝記。



※利他行動とは、他人のために自分を犠牲にする行為

タブーな実験



「肥満の母親に宿った『受精卵』を、ヤセ型の母親のそれと『交换』したら、生まれてくる子どもは、肥満かヤセか?」

これは人間が「やってはならない実験」の一つである。つまり、倫理上不可能な実験ということだ。

女性の子宮は「聖域」であり、その核心たる受精卵にはおいそれと手を触れるわけにはいかない(日本は受精から7日目以降をヒトとみなす)。



もっと恐ろしい実験は、ヒトとチンパンジーの交配だ。

ある科学者が「想像しうる限り、もっとも興味深い実験」と言ったというが、それは「もっとも恐ろしい実験」の一つである。



出典:WIRED (ワイアード) VOL.4 (GQ JAPAN2012年6月号増刊)

猛スピードで生き急ぐ大腸菌


人間の40万倍のスピードで生きるという「大腸菌」。

その一世代は、わずか30分。

恐るべき進化のスピードである。



出典:WIRED (ワイアード) VOL.4 (GQ JAPAN2012年6月号増刊)

2012年10月1日月曜日

暗黒に生きるショウジョウバエ



57年間もの間、「暗闇の中」で飼われてきたショウジョウバエがいるという。

その名も「暗黒ショウジョウバエ」。

命をつなぐこと、じつに約1,400世代。



今春、この暗黒ショウジョウバエの「嗅覚、視覚にかかわる遺伝子が変異している」ことが確認されたという。

暗闇という環境に適応し、進化した結果だ。

光を見ぬままに進む進化、今後どのような道へと進んでいくのだろうか?






出典:WIRED
「暗黒ショウジョウバエ」