2012年11月20日火曜日
自分を食べる細胞
ヒトは食事で食べるおよそ3倍の量のタンパク質を「リサイクル」しているのだという。
自分の身体のタンパク質をアミノ酸に分解して、ふたたび新しいタンパク質へと合成しなおしているというのだ。
あたかも、「細胞が自分自身を食べる」かのように…
なぜ?
2012年11月11日日曜日
伊豆半島と富士山
関東と東海を分ける「伊豆半島」は、伊豆諸島などと同様、もとは火山島で、フィリピン海プレートにのって北上し、日本列島とぶつかって陸続きになった。
伊豆半島の部分は軽くて沈まないので、陸側プレートを押し続けている。一方、伊豆半島がのっているフィリピン海プレートの関東側は相模トラフから、東海側は南海トラフから沈み込んでいる。沈み込む方向は伊豆半島を境に少し異なり、関東側の相模トラフでは北北西、東海側の南海トラフでは西北西だ。
つまり、伊豆半島の根元部分あたりでは、全体としては北西方向に押す力が働き、同時にそれと直交する方向には引っ張り力、つまりプレートを引き裂く力が働いている。
実際、その引っ張り力によって、伊豆半島の付け根付近のプレートに裂け目ができ、そこが通り道となって地下深部からマグマが上昇、火山ができた。それが「富士山」だ。
抜粋:日経 サイエンス 2012年 02月号
「地震&火山 最悪のシナリオ」
2012年11月10日土曜日
大噴火を伴う巨大地震
歴史上、巨大地震は大噴火を伴ってきた。
約300年前の江戸時代、富士山が大噴火したのは、宝永地震(1707・推定M8.6)の49日後だった。
平安時代には貞観地震(869)の2年後に鳥海山が噴火した。その44年後には十和田湖がある十和田カルデラが大噴火。
大地震による地下の変動がマグマだまりを刺激して噴火に至るのではないかと考える専門家は多い。
ソース:日経 サイエンス 2012年 02月号
「迫る巨大地震」
巨大地震のスーパーサイクルが満期を迎える北海道東方沖
普通の大地震が何回か起きると巨大地震が一回起きるような発生サイクルを「スーパーサイクル」という。
宮城県沖では、平均約600年間隔のスーパーサイクルがあり、それが満期になって東日本大震災は起きた。
北海道東方沖では、平均約400年間隔のスーパーサイクルが満期になっているとみられている。
ソース:日経 サイエンス 2012年 02月号
「迫る巨大地震」
2012年11月9日金曜日
見たこともないアルコール飲料には要注意
アルコール飲料「フォーロコ」には、かつて「カフェイン」が入っていた。
しかし、2005年にこれを飲んで病院に担ぎ込まれる例が相次いで報告されたため、FDA(アメリカ食品医薬品局)は2010年、「アルコール飲料にカフェインを加えるのは違法である」と布告した。
確かに、フォーロコには「カフェイン」が入っていた。しかし、最近の研究によると、「カフェインはアルコールが身体に吸収される仕組みに影響を与えない」という話だ。つまり、フォーロコを飲んで病院に担ぎ込まれた人々は、「カフェインのせいで悪酔いしたわけではなかった」という可能性が浮上しているのである。
ではなぜ?
それは、フォーロコに「酒の味」がしなかったのが原因と考える研究者がいる。
人間の身体は、まだアルコールを飲まないうちから、アルコール摂取に備える「学習」をしている。たとえば、ビールを見たり、酒の匂いを嗅いだりすることで、身体が事前にアルコールに備えるのである。
ところが、見たこともない飲料や、酒の味のしない飲料に、思いもかけずアルコールが含まれていると、身体は「奇襲攻撃」を受けた状態になってしまう。そして、それが飲み過ぎ、悪酔いにもつながってしまうというのである。
なるほど、フォーロコの罪状はカフェインが含まれていたことではないかもしれない。
あまりにも「新しすぎたこと」が真犯人のようである。人間は誰もまだ「学習」していなかったのだ。
ソース:日経 サイエンス 2012年 02月号
「『フォーロコ』で悪酔いする理由」
知識とハサミは使いよう
「30歳までに科学に大きな貢献をしなかった人は、その後も決して科学に貢献することはないだろう」
かつて、アインシュタインはこう述べた。
しかし、ノーベル賞を見てみると、「受賞者が研究業績を上げた年齢が、どの分野についても『高齢化』していることがわかった」。
つまり、アインシュタインの頃とは時代が変わったということだ。
ところで、何が変わったのか?
「若者に利がある『理論研究』から、知識の集積を必要とする『実験研究』へと重点が移ったのが一因だろう」と見る専門家がいる。
だが、それでも「革命の誕生」には、「確立された知識がむしろ妨げとなる」可能性はある。
「この先に科学革命が準備されている場合、それを成し遂げるのは再び『若手』となるのだろう」
「知識」というのは両刃の剣。
それが武器になることもあれば、それが妨げとなることもある。
「知識とハサミは使いよう」ということか。
ソース:日経 サイエンス 2012年 02月号
「若くなくても」
人間の遺伝子を変えるかもしれない食物
まさか、「食べた食物が人間の遺伝子を変える」などということがあり得るのであろうか。
しかし、それを示唆する実験は実際にある。
「たとえば、米に由来するある特定の『マイクロRNA』は、血中から悪玉コレステロールの除去を調節している受容体に結合し、その働きを阻害していることがわかった」
「マイクロRNA」というのはヌクレオチドの短い配列で、タンパク質をコードしてはいないが、特定の遺伝子に作用して、その遺伝子にコードされたタンパク質の生成を阻害する。
南京大学のチャンらは、30人の被験者の血液を調べた結果、日常的に食べられている植物に由来する約30種類のマイクロRNAが、その血中に含まれることを突き止めた。
「マイクロRNAは、ビタミンやミネラルと同様、食物からもたらされる機能性分子なのかもしれない。今までは知られていなかったが…」
この発見は「共進化」にも力を与える。共進化というのは、ある生物種の遺伝的変化が別の種の変化を誘発する現象である。
たとえば、人間が大人になっても牛乳中のラクトースを消化できるようになったのは、牛が「家畜化された後」だった。つまり、人間を遺伝子を変えたのは家畜化された牛だった可能性があるのだ。
それと同様、「人間が栽培した作物も、人間を変えてきたのではないだろうか?」
「食べ物が身体を作る」という古くからの格言は、単なる栄養素としてだけの話ではないのかもしれない。もしかしたら、人間の細胞の最深部にある司令室、遺伝子にも入り込んでいるのかも…。
「自然の中で孤立して存在しているものは、なにもない」
ソース:日経 サイエンス 2012年 02月号
「食べ物から来たマイクロRNA」
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