2016年11月30日水曜日

Q. 一粒のお米から、どれくらいのお米がとれるでしょうか?



問題です。

一粒のお米を育てると、どれくらいのお米がとれるでしょうか?


一粒のお米が、何倍になるのか?



「うーん、100粒くらいかな…?」

いやいや、小麦だとそれくらいだけど、お米はそんなもんじゃないよ。


お米ひと粒が1,000倍になる!



答えは、なんと「1,000粒」。

お米の生産性は、小麦の10倍もあるのだ。



お茶碗一杯に、約4,000粒のお米



お茶碗一杯分には、約4,000粒のお米があるけど、それはつまり最初はたった「4粒」だったってこと。


4粒のお米が、一年後にお茶碗一杯分にもなる。



そんな凄いお米だけど、農業をやる人は年々減り続けている。

いまや65歳以上の人が「61.6%」。


少数化と高齢化


若者に農業を。

ということで、フェラーリなどをデザインした奥山清行さんが、かっこいいトラクターをつくってくれたぞ。



まさに農道のフェラーリ!











世界には、いろいろな農業の形がある。

たとえばボリビア。


結晶のような形をしたボリビアの農地



中心部に人が住み、土地を放射状に耕していくと、こんな形になるんだそう。

つぎにサウジアラビア。


銭形?



乾燥地帯であるサウジアラビアでは、円形に回転するスプリンクラーによって、お金のような形の農場がなるんだそう。






出典:NHK高校講座「地理」




2016年11月28日月曜日

「沈む氷」の話 [放射性同位体]



普通、氷は水に浮く。

ところが、「沈む氷」もあるという。


水に沈む氷とは?



それは「重水(じゅうすい)」でつくられた氷。

ところで、重水って何だ?


水素の同位体が「重水」をつくる



重水は、普通より重い「水素」から成っている。

普通、99.9885%の水素の重さは「1」である。ところが稀に、0.0115%の割合で重い水素、いわゆる「重水素」が自然界には存在する。その質量数は「2」、中性子一個ぶんだけ重くなっている。

実際に、重水素でできた水、重水100mlの重さを測ってみると「109g」。普通の水なら100gだから、約10%ほど重いことになる。これが「沈む氷」の正体である。

化学的には「同位体(どういたい)」と呼ばれる存在だ。イチゴ大福でいえば、イチゴが一個の大福と、イチゴが2個の大福が、互いに同位体といえるであろう。


同位体は「中性子」の数がちがう、同じ元素



ところで、極く稀に、中性子が2個もついた「三重水素」という、さらに重い水素も存在する。


たいへん不安定な「三重水素」



三重ともなると、さすがにバランスが悪い。

そのため、別の原子核に変わろうとして放射線をしきりに放出することになる。この状態を科学的には「放射性同位体」と呼ぶ。



炭素の「放射性同位体」



水素だけに限らず、炭素にも同位体があり、ごく微量、放射性を発する同位体も存在する。



放射性炭素による年代測定



質量数14の重い炭素、C14は物質の年代測定を可能にする。

というのは、放射性同位体という存在はとても不安定なため、放射線を発しながら、ついには「別の元素」に変化してしまう。炭素14の場合は質量数14のチッソに成り上がる。



チッソに変化する炭素



その成り上がりのパーセンテージは、一定の割合で決まっているので、物質に含まれる炭素14の成分比を調べることによって、その物質の年代が測定できるのである。


炭素14の自然界での割合は決まっている


時間が経つと、炭素14だけがチッソに変化する。



5730年たつと、放射性同位体である炭素14の存在量は約半分に減る(半減期)。

その倍、1万1460年たつと、さらに半分、元の量からは4分の1に減る。


どんどん減る炭素14



また、放射線を発する物質は、測定が可能になる。

たとえば、リンの放射性同位体を調べると、その植物内での移動が追跡できる。カルシウムやマグネシウムも同様であり、植物内での吸収のスピードに差があることが確認されている。

実用可能性としては、肥料の最適な配分を知ることにつながる。


放射線を発する物質は測定が可能



出典:NHK高校講座「化学基礎」




2016年11月23日水曜日

知床の作り方[硬い溶岩、柔らかい溶岩]



北海道の世界遺産「知床(しれとこ)

その成り立ちは、両手でテーブルクロスに皺(しわ)をつくるのに似ている。

左右、手の先を内側に向け、すれ違うように動かす。すると、テーブルクロスに皺がよる。その盛り上がった部分が、知床・国後(くなしり)・択捉(えとろふ)のように綺麗に並ぶのだ。


テーブルクロスでつくる知床・国後・択捉



テーブルクロスに加えた手の力、じつはプレートの動きである。

100万年前、太平洋プレートが北米プレートの下に潜り込みはじめた。すると、その力に引きずられ、北米プレートが東から西へと移動。


北米プレートが太平洋プレートに引きずられる


その結果、海底が皺(しわ)のように押し上げられ、陸地になった。


盛り上がった部分が陸地に


こうして知床半島、国後島、択捉島が誕生。

成り立ちが同じだからこそ、仲良く並んでいるのである。

「知床と国後、択捉はいわば兄弟みたいなものですね」


知床・国後・択捉、3兄弟


ご存知のとおり、知床半島には魚介が豊富で、その種類は100種類以上。港町・羅臼(らうす)は「魚の城下町」と呼ばれるほどである。

その豊かな生態系をはぐくむ理由の一つが「流氷(りゅうひょう)」。知床に漂着する流氷には、栄養たっぷりの植物プランクトンがたくさん付着して来る。


知床をはぐくむ流氷


凍てつく北の海でつくられた流氷は、潮の流れとともに北海道へと南下する。

その流れゆく流氷の受け皿となるのが、北海道の伸ばした腕たる、知床半島である。もし、知床半島が流氷を堰き止めなかったら、魚のエサがたっぷりと付いた流氷は、太平洋の彼方へと流さ去ってしまうだけだったであろう。

「流氷がここ(知床半島)で留まるから、植物プランクトンが、それを追って小魚が、それを追って大きな魚が。それをクマが食う、ワシが食う。陸上と海がつながる、と。がってん、がってん」


流氷の受け皿となる知床半島


この海域で多種多様な魚がはぐくまれるのは、もう一つ理由がある。

それは「深さ」。

さきほどのテーブルクロスの例をみると、盛り上がった皺(しわ)の溝は、とても深くなっていることがわかる。


シワと同時にできる、深いミゾ


知床・国後・択捉の3兄弟が、陸地として盛り上がったとき、それらに挟まれた海は逆に深くなった。

知床と国後のあいだの海は、深いところで2,000mもある。


知床と国後のあいだの海は、じつに深い


陸地から急激に落ち込む海。

その結果、狭い海域に「浅瀬」と「深海」、まったく異なる性質の海が、知床と国後のあいだで共存することになった。

「だから、深海の赤いキンキだとか、浅いところの魚まで全部とれるわけですね」


浅瀬と深海が共存


「それもこれも、火山のおかげなんです」

100万年前のプレートの動きによって押し上げられた海底には、そのズレから割れ目が生じた。そこからマグマが噴き出し、徐々に盛り上がっていく。


割れ目からマグマが噴き出す


海底で噴出したマグマは、冷たい海水によって急速に冷却される。

そしてできるのが「水冷破砕岩(すいれいはさいがん)」。


急冷されてできる「水冷破砕岩」


まず形成されたのが、この水冷破砕岩でできた陸地である。


最初の陸地は、水冷破砕岩で形成された。


水冷破砕岩の特徴は、その「もろさ」。

「もろくも崩れますね」

海で急に冷やされたため、マグマが粉々になっている。

「もろいから風化がはやくて、土になりやすい。そうすると耕作できる、作物ができる」


土化しやすい水冷破砕岩


そうした土壌のうえに、さらなる噴火がおきる。


さらなる噴火


地上で噴火したマグマは、空気によって「ゆっくり」冷やされる。

するとできるのは「硬い岩石」。

「これは水冷破砕岩とはまったく違う。風化もしないし、ましてや耕作にはまったく適さない」


知床半島をおおう、もろい水冷破砕岩と、かたい溶岩


元々もろい水冷破砕岩は、時間がたつと土になるので、農地として開拓することができた。大正時代からはじまった開拓は、ウトロの農地や住宅地となった。

一方、あとから噴火してできた硬い溶岩地帯は、どうしても開拓することができなかった。

「世界遺産のこっち側には溶岩が流れて、あっち側には流れなかった。その境目が世界遺産との境目にもなっているんです」


世界遺産との境目は、溶岩の境目





出典:NHKブラタモリ「知床」




2016年11月22日火曜日

持てざる者らの悲哀 [韓国]



韓国、パク・クネ大統領の疑惑に、韓国国民は怒り心頭。

3週連続で支持率が「5%」という異常事態。

その背景には、貧富の格差があるという。


集中する富



先進国のなかでも、韓国の格差は大きい。

所得の上位10%が稼ぐ所得は、国民全体の所得の29%(1995)から45%(2013)へと拡大。つまりこの20年で、金持ちだけがより金持ちになっている。

極端なまでの「学歴社会」は、勝ち組と負け組の明暗を濃くする一方。若者の失業率は「8.5%」と高い。地縁血縁が優先される「コネ社会」のために、能力があっても良い就職にありつけるとは限らない。



持てざる者らの悲哀



韓国の若者のあいだで流行っている言葉が、韓国社会の現状をうまく言い当てている。

「7放世代」

人生に大切な7つのこと、恋愛・結婚・出産・マイホーム・人間関係・夢・希望、これらを全て放棄せざるをえない世代、という意味。

「金のさじ」

「金のスプーン」をくわえて生まれてきたかどうか。すなわち、お金持ちの家に生まれたかどうかで、その後の人生がほぼ決まってしまう。







どんなに努力しても豊かになれない。

そんな絶望に、韓国国民の怒りは一触即発である。





出典:NHK時論公論
「韓国パク大統領疑惑と国民の怒り」

真田の「赤備え」、そして鹿



歴史に名高い、真田の「赤備え(あかぞなえ)」。

兜に鎧に陣羽織、すべて真っ赤。

付き従う兵も然り。旗や馬まで、すべてが赤、赤、赤。


真田の赤備え



しかしながら、真田幸村こと信繁のものと伝わる甲冑は、意外にも黒っぽい。


真田信繁 鉄二枚胴具足



じつは、信繁の赤備えは「大阪の陣」にのみ用いられた、特別ないでたちであったという。

赤という、ひときわ目立つ装束を身につけた真田の軍勢は、敵にも味方にも、その一挙手一投足までが明らかであった。ゆえに、軍卒の端にいたるまで恥さらしな行動はできない。目立てば目立つほど、真田軍は奮い立ったという。

その勇戦は歌によまれている。

「ツツジの花 盛んに開くが如し」


覚悟の赤



では、真田信繁の父、真田昌幸。

戦国の一匹狼の甲冑や、いかに。


戦国の一匹狼 真田昌幸



こちらも渋い具足が、上田市の博物館に残っている。

注目すべきは、草摺の裾板に「鹿革」が使われているということ。

鹿は古来、神の使いとされてきた動物。その力が甲冑に宿れば、武運長久まちがいなし。


真田昌幸 啄木糸縅伊代札胴具足



そういえば、息子の信繁のカブトにも…

鹿のツノ!

親子そろって、神聖なる鹿に身を包まれていた。


鹿角のカブト





出典:NHK美の壺
「戦国武将 いでたちの美学」