2012年9月24日月曜日

宇宙で太陽光発電をする夢


宇宙で太陽光発電を行い、その電力を無線で地球に送る。それが「宇宙太陽光発電」である。

太陽光を集めるのは、赤道上空3万6,000kmの静止軌道上にある人工衛星。宇宙での太陽光の強さは地上の「2倍」。日照時間は地上の「4〜5倍」。その発電効率は地上の「10倍」も高いとされている。



つくった電力はマイクロ波などに変換して無線で地球に送る。マイクロ波は雲をすり抜けることができるため、「送電ロス」はほとんどないという。

ただ、その精度が問題だ。送電角度が0.01°ズレるだけで、地上では1kmもズレてしまう。「ゴルフで4km先からホールインワンを狙うくらいの精度が必要」と篠原教授(京大)は語る。



発電コストはどうだろう? 長期間、安定稼働すれば、1kW時あたり8.5円と、水力や風力などの自然エネルギーよりも安くなるという。

しかし初期コストが巨額となる。およそ1兆2,400億円。残念ながら、この大きすぎる初期投資を負担できる電力会社や国家は、「今のところ存在しない」。あら?

ちなみに、必要資材を宇宙に運ぶには、日本の主力ロケットH2Aを1,000回も打ち上げる必要があるそうだ。あら?



それでも、篠原教授はこう言い切る。「長距離の無線送電に必要な技術はそろっている。今の技術水準でも宇宙太陽光発電所の建設は可能だ」。

ただ、大金と根気さえあれば…。





出典:日経 サイエンス 2012年 01月号
「宇宙太陽光発電 研究が本格化」

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