「恒星」というのは宇宙を構成する基本的な天体であり、われわれは20世紀の半ばまで、恒星もしくはその集団である銀河が、宇宙の物質の大部分を占めていると思い込んでいた。
ところが、恒星の運動を調べてみればみるほど、どうもおかしい。ニュートンの運動法則を適用すると、銀河には恒星以外の「まったく光を発していない物質」が大量になくてはならなくなってしまうのだ。
その存在するが目には見えない物質は、のちに「暗黒物質(ダークマター)」と呼ばれるようになった。
さらに調べていくと、どうやら宇宙は膨張を続けているだけでなく、その膨張は「加速」しているらしい。そして、その加速源と目されているエネルギーが、「暗黒エネルギー」とのことである。
20世紀半ばまでは知られてすらいなかった、暗黒物質と暗黒エネルギー。じつは、この両者で宇宙の96%を占めているらしいこともわかってきた(暗黒物質23%、暗黒エネルギー73%)。
なんとなんと、かつては宇宙の大部分を占めていると思われていた恒星と銀河は、宇宙のたった4%というマイナーな存在だったのである。
出典:
日経サイエンス 2011年 12月号
「宇宙を読む」
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